【第1話】「なんか違う。」は、人生のコンパスだった。

「なんか違う。」シリーズ

「なんか違う。」

家づくりを始めてから、この言葉が何度も頭に浮かびました。

性能や間取り、人気の工務店を調べても、なぜか心が動かない。

そんな違和感から、私たちの材料探しの旅が始まりました。

「なんか違う。」を無視していた頃

医療事務の仕事をしていた頃のことです。

医療に携わる仕事って、なんだかかっこいい。

人の役に立てるし、「ちゃんとしている」と思ってもらえそう。

もちろん、それは間違いではありませんでした。

実際に、学んだこともたくさんあったし、出会えた人たちにも感謝しています。

でも今振り返ると、その仕事を選んだ理由の中には、

「周りからそう見られたい」という気持ちもあったように思うのです。

本当は、自分が何を大切にしたいか、自分がどんなことに心が動くのか。

そんなことをゆっくり考える前に、「正解」を選ぼうとしていました。

そして心のどこかでは、ずっと思っていました。

「……なんか違う。」

でも、そのたびに、

「これでいいんだ。」

「みんな頑張っているんだから。」

そうやって、自分に言い聞かせていたのです。

家づくりで感じた「なんか違う。」という違和感

家づくりを始めた頃の私は、「絶対に後悔したくない」と思っていました。

一生に一度の大きな買い物。

だからこそ、たくさん調べました。

SNSを開けば

おしゃれな家。

人気の工務店。

憧れの間取り。

「これをやってよかった!」

「これは絶対に採用すべき!」

たくさんの情報があふれていて、どれも魅力的に見えました。

もっと勉強しなきゃ。

もっと正解を知らなきゃ。

気づけば、「私はどんな暮らしがしたいんだろう?」よりも、「何を選べば間違いないんだろう?」

を考える時間の方が増えていました。

もちろん、情報を集めることは悪いことではありません。

SNSのおかげで知れたこともたくさんありました。

でも、たくさんの”正解”を見れば見るほど、なぜか心は疲れていきました。

「本当に、これが私たちの理想なんだろうか。」

「なんか違う。」

その小さな違和感は、家づくりの中でも、静かに顔を出していたのです。

違和感の先にあった本当に大切なもの。

「なんか違う。」

その小さな違和感を無視せずに立ち止まってみると、少しずつ見えてきたものがありました。

私はずっと、”誰かの正解”を探していたんだと思います。

人気のもの。

みんなが選んでいるもの。

効率のいいやり方。

失敗しない選択。

それが正しいと思っていました。

でも、本当に私が探していたのは”誰かの正解”ではなく、

「私は何が好きなんだろう。」

という答えでした。

家づくりをきっかけに、私は自分の心に何度も問いかけるようになりました。

どんな景色を見るとホッとする?

どんな時間が好き?

どんな家に帰りたくなる?

どんな暮らしを送りたい?

そんなことを一つひとつ考えているうちに、不思議なことに、家づくりだけではなく、

自分自身のことまで少しずつ分かるようになってきたのです。

コーヒーの香りにホッとする時間。

手書きの家計簿を開くひととき。

日記を書く静かな夜。

窓から四季の移ろいを眺める暮らし。

家族が自然と集まる場所。

どれも小さなことかもしれません。

でも、その小さな”好き”を集めていくことが、私にとっての「自分らしい暮らし」

につながっていました。

違和感は、本当に大切なものへ向かうための、小さな道しるべだったのです。

私はその道しるべを頼りに、一歩ずつ歩き始めることにしました。

「なんか違う。」という人生のコンパスを握りしめて。

あの頃の私は、まだ知りませんでした。

この一歩が、”人生の材料探しの旅”の始まりだったことを。

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